民法が定める離婚事由(民法770条1項)が必要とされるのは、裁判離婚の場合だけとなります。
手続自体は難しくありません。ご夫婦が離婚することを合意されれば、2人の証人に署名等をお願いして、市役所等に離婚届を提出するだけです。未成年のお子さんがおられる場合、お子さんの親権者を決めなければなりませんけれど、お母さんを親権者とされる場合が多いと思われます。離婚届に面会交流や養育費のことを記載する欄もありますが、その記載は必須とされてはおりません。協議離婚の場合に特に気をつけなければならないことは、財産分与、年金分割、慰謝料等、権利行使の期間の制限があることです。
離婚の合意はできたけれど、親権を互いに譲れない、或いは財産分与の話がまとまらない等々、調停を始められる理由は様々です。ご夫婦一方のみが離婚を望まれている場合、離婚を望まれる方は、まずは調停の申立てをしなければなりません。法律上、調停前置とされているからです。調停も、裁判も、弁護士に依頼することは必須でありません。弁護士に依頼しなければ、家庭裁判所に納める費用だけで済みます。家庭裁判所では、男女2人の調停委員の先生が、ご夫婦の話の間に入ってくれます。ご夫婦は交替で調停室に入りますので、ご夫婦が同席する機会は殆どなく、緊張なさる必要もありません。お互い譲歩し、合意が整えば、離婚成立です。
調停が不成立に終わった場合、離婚を望まれる方は、家庭裁判所に人事訴訟を提起する必要があります。いわゆる離婚裁判です。上記のとおり、調停前置により既に調停をしてきておりますから、離婚裁判が始まってからの和解というものを余りイメージできないかもしれません。ただ、私どもの感覚ですと、調停委員ではなく担当裁判官が主体的に進めてくれる関係からか、裁判の中での和解離婚というものは、むしろ普通と考えています。離婚事由がある案件の場合、調停を早期に終え、離婚裁判に移る場合もあります。
調停離婚にも、和解離婚にも至らなかった場合、裁判官に判断いただくことになります。離婚を望まれる方にとって、大きな壁となるのは民法で定められている離婚事由です。民法770条1項を確認ください。5号には「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」とありますけれど、最終的には事案毎の判断になります。離婚事由として実務上散見されるものとは、暴力や、浮気です。
これが全ての項目ではありませんけれど、殆どの方が気にされておくべき項目を記載しておきます。
互いに親権を譲らない案件も多いですが、お子さんの福祉の観点でお話し合いをすべきであり、そのように裁判所も考えています。
インターネットの検索画面で「算定表」と入力してもらえれば、最上位に、いわゆる算定表が出てきます。互いの収入やお子さんの年齢から、義務者の支払うべき相場が分かります。実際に議論の可能性が高いのは、大学や私立高校における学費の負担割合です。
お子さんの福祉の観点でお話し合いをすべきと思います。近年、連れ去りの問題点や面会交流の現実化の議論が活発化しています。
法律相談の際、最もご質問が多いところです。誤解を恐れず、ざっくり表現しますと、婚姻後に形成し別居時に残存する財産を、その名義にかかわらず合算して、それを「半分ずつ」にするのが基本です。婚姻前に形成していた財産や遺産分割で得た財産は、特有財産とされ、財産分与の対象外となります。ただ、特有財産の立証の問題は難しいところです。基準:別居時は押さえてください。
財産分与の一種と考え得るものです。対象は婚姻後に形成した厚生年金等の掛け金(いわゆる2階建て部分)でして、それを平等な状態にするものです。財産分与とは異なり、別居時が基準ではなく、離婚時迄が分割の対象となります。最も注意すべきは、手続きを忘れないことです。分割を受けるべき方は、くれぐれも年金事務所での手続きをお忘れなく。基準:離婚時は押さえてください。
暴力に対するもの、不貞行為に対するもの、離婚自体に対するもの、案件によっては慰謝料も考えられます。ご相談者の関心も大変に高い項目です。もっとも、経済的な意味合いだけ考えますと、離婚案件の内、それほど大きな比率を占める項目ではありません。
例えば和解離婚が成立するだけで離婚とはなりますけれど、その届出等、諸々の手続きは必要です。
離婚届は夫婦の本籍地や一方の所在地の市区町村役場に提出します。その他すべきことも多々あり、届の際に窓口で確認ください。
年金分割が整っていても、その請求手続きをしないと、標準報酬は変更されません。厳格な期間制限があり、急ぎ手続きください。
離婚後、子の戸籍は変わりません。例えば子が母の戸籍に移り母の氏を称するとき、子の氏の変更許可の申立てが必要となります。
特に婚姻費用分担請求につきましては、殆どの離婚案件で調停や審判となりますので、確認が必要です。
養育費はお子さんに対する生活費等ですが、婚姻費用には収入の少ない一方の配偶者(妻の場合が多い)の生活費等も含まれます。離婚迄は婚姻費用の問題となり、離婚後は養育費の問題となります。養育費と同様、インターネットサイトに婚姻費用の表もありますので、そちらを確認ください。調停や審判で議論となる可能性が高いのは、住宅ローンの扱いや、大学等の学費の負担割合です。
お子さんの福祉の観点でお話し合いをすべきと思います。近年、連れ去りの問題点や面会交流の現実化の議論が活発化しています。
ご自身やお子さんの生命身体の安全を図ってください。暴力に慣れてしまう方もおられ、警察への相談も躊躇しない方がよいです。