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交通事故にあわれた方へ

はじめに

特殊な領域の案件につきまして、東京地方裁判所や大阪地方裁判所では専門に担当する部署が設けられています。知的財産、医療、行政・租税などは、皆様も特殊な領域と感じられるかもしれません。意外と思われるかもしれませんが、実は交通事故も同じように特殊な領域でして、東京地方裁判所では民事第27部、大阪地方裁判所では第15民事部が設けられています。そして、加害者側の代理人弁護士は、加害者が契約する保険会社と連携しており、その業務の殆どが交通事故という方も少なくありません。裁判所も、加害者側も、交通事故の専門家です。それゆえ、被害者側も交通事故に精通した弁護士に案件を任せた方が安心なのかしれません。

とても大切なことなので、最初にお伝えします。交通事故の直後、将来的な損害賠償のことを余り気になさらないでください。とにかく、お怪我が治ることが一番ですから、まずは主治医の先生の指示に従い、治療に専念していただきたいです。最低限しておくべきことといえば、ご自身が契約する保険会社と、警察への、交通事故の報告くらいです。保険会社に連絡された際、ご自身の保険に弁護士特約を付けてあるかどうかは確認しておいてください。警察に連絡された後は、刑事手続きについては警察から助言がありますので、その助言をふまえて対応されれば十分です。なお、交通事故の直後、被害者の方が当事務所にお越しいただく場合も頻繁にございます。その際にお願いすることといえば、交通事故の態様の記録化くらいでして、その具体的な方法をご説明しております。

被害者の方が当事務所にお越しいただいた場合、交通事故における損害賠償の実情をご説明しております。自賠責保険の基準、任意保険の基準、いわゆる赤い本の基準(弁護士基準や裁判基準などとも呼ばれます。)、それらの違いをご理解いただくことにより、ご自身の場合に弁護士に依頼する必要があるかどうか、ご判断いただきやすくなります。なお、弁護士特約が使える方であれば、ご自身の経済的な負担は殆ど考えられませんので、弁護士の必要性を悩まれる必要は全くないと思っています。多くの損害保険会社は日本弁護士連合会と提携しておりまして、当事務所においても、その統一の基準(LAC基準)で弁護士費用を算定しております。

冒頭で「まずは治療に専念ください。」と申し上げました。では、どのタイミングで損害賠償のことを考えていくべきかといいますと、それは、一般的には「治癒」か「症状固定」のときです。おおまかに申し上げますと、傷病が治ったときが「治癒」でして、治療を続けても傷病の状態が変わらなくなってしまったときが「症状固定」です。本来的には主治医の医学的判断でなされるべきものですが、実社会においては加害者側の保険会社の影響力も考えられます。症状固定の場合、「後遺障害」の手続きに進みます。通常は加害者側の保険会社が主体的に「事前認定」という手続きをしてくれますが、何らかの事情により被害者自らが「被害者請求」という手続きを取る場合もあります。「治癒」、或いは、「症状固定」「後遺障害」の後、加害者側の保険会社から示談の提案がなされます。その段階になり、いよいよ弁護士に依頼するかどうか考える方が多いでしょう。なお、弁護士に依頼されない場合、「日弁連交通事故相談センター」の示談あっ旋や、「交通事故紛争処理センター」の和解あっ旋を利用されることをお勧めしております。

ここに記載するものだけではないですけれど、最低限ご確認いただきたい費目です。まず、物的損害と人的損害に分かれます。物的損害の中心は、車両の損害です。修理費と事故当時の市場価格をふまえ、車両の損害を検討していきます。人的損害の中心は、治療費、交通費、入院雑費、休業損害、慰謝料などです。症状固定後に後遺障害の認定がなされた場合、それらに加えて、後遺障害逸失利益、後遺障害慰謝料を検討します。働けなくなった場合の損害が、休業損害と後遺障害逸失利益でして、症状固定日の前後で分けて考えます。交通事故や傷病等による精神的苦痛が、慰謝料と後遺障害慰謝料でして、これも症状固定日の前後で分けて考えます。加害者側の保険会社の提示を確認しながらご説明するのが分かりやすく、当事務所にご来所いただければ、詳細をお伝えできます。